認知症の種類の中でも、特に対応が困難な前頭葉側頭型認知症(FTD)について解説していきます。
「でも名前が違くたって認知症でしょう?」という声が聞こえてきそうですが、前回解説した脳血管性認知症も見られる症状や状態が違っていましたよね。
今回の記事を読めば誰でも前頭側頭型認知症について分かるように解説していきます。
①前頭側頭型認知症とは
前頭側頭型認知症(以下、FTD)とは全体の約1%程の割合で発症している症状です。因みに若年性認知症(65歳未満で発症)の場合だと約9%の割合です。
4大認知症と呼ばれる症状がありますが、FTDは唯一指定難病に認定されています。
指定難病は治療にかかる治療費の一部を助成してくれます。
FTDと診断される方はよく「性格が変わった」と言われる事が多いです。ですので周りの人が「怪しいな」と思う(変化に気付く)のも特徴の一つだと言えると思います。
②どんな状態なの?
自分の興味のある事以外には無関心な様子が見られます。
他にも実際FTDには下記が大きな特徴かなと思います。
②常同行為
③行動の単純化
①社会的逸脱行為…
認知症の人が万引きで捕まった‼…なんて話をニュースで聞いた事はありませんか?これはFTDの人が多いと思います。私が知る限りではFTDの方が多いと思います。
なぜ社会的に「してはいけない」と言われてしまう行為をするのか?それは前頭葉が社会性をつかさどる部分なので、この部分は障害を持ってしまうと何が良くて悪いのかの判断が出来なくなります。
②常同行為…
これは同じ事を繰り返す事を言います。ただ繰り返すと言ってもルーティンとかではなく病的なまでに(実際認知機能に障害が出てるのだか)同じ事を繰り返します。
毎回同じ物や飲み物を口に入れたり。味もそうですが、特定の物にこだわってそればっかりずっと食べたりします。飽きるという概念は多分ありません。
③行動の単純化…
常同行為と似ているのですが、行動が単純化します。
例えば健常者であれば、散歩の途中に天気が悪くなってきて雨が降りそうだと思ったらどうしますか?
早めに帰るとか、雨がもしかしたら止むかも知れないから近くで雨宿りという事を考えるかと思います。つまり周囲の状況に合わせて行動を変化させています。
ですがFTDの人は散歩の途中で雨が降ろうが、何なら行く前から雨が降っていたとしても構いません。同じ時間に家を出て、同じコースで歩いて、大体同じ時間に帰宅する。つまり周囲の状況の合わせて行動を変える事が困難になります。
病的な規則正しさから「時刻表的生活」と呼ばれる事もあります。
③実際見られる状態とは?
私はFTDの人は見ればわかります。先ず本当に無関心です。一方で自分が興味ある事に対してはこちらの都合関係なくズカズカ入り込んできます。
あるレストランの横を通ると停まっている車の数を見て、「いつもはガラガラなんだけどな。おかしいな。」と言います。「そうなんですねぇ。」と合わせますが心の中ではいつも「だから何?閑古鳥が鳴いていようが、満員御礼だろうがあなたに関係ないでしょ。」といつも思っています。
他にも興味が無くなるからか自分中心の人が多い気がします。そればかりか病的な規則正しさもあって自分の中の拘りがあり、それが少しでも違うと不平不満が態度や口に出ます。
行動の修正も効きにくく、割と介護は大変です。
一方興味のある事がはまれば、高い作業能力を発揮します。アルツハイマー型認知症(AD)の人よりも作業能力は高いと思います。こういう部分での記憶は保たれているのかなと感じます。
また、病的なまでに規則正しい生活もうまく利用することが出来ると介護者も楽になったりします。
例えばデイサービスに行きたくないと言うADの人がいます。でもFTDの人であればデイサービスに行くのが上手く生活の一部になれば「行きたくない」と言う事は少ないのでは無いのでしょうか。
因みにうまく生活の一部になると、デイサービスが無い日でも送迎者を外で待っていたりします。
これはこれで大変ではありますが…
④まとめ
認知症の種類の中でも、特に対応が困難なFTDについて解説しました。
最後まで読んでくださった方は困難な理由がお分かり頂けたのではないでしょうか。
「我が道を行き、その道には修正は無く、ただ正確なまでに同じ道が続いている」というのがFTDです。
ただFTDに見られる状態をうまく利用する事が出来れば介護者も楽になるので、どれだけ本人の興味のある事、したい事をうまく生活に落とし込むかがカギになると思います。
作業能力は高いので、掃除や食器洗いなどを生活の一部に入れることが出来れば自立支援にも繋がりますね。
ではまた‼
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