認知症ケアシリーズ第2弾として、「中期編」を解説していきます。
認知症は人によって進行するスピードに差はありますが、共通して言えるのは「症状は必ず進行する」という事です。
結論から言うと、認知症ケアに絶対はありません。
人によっては良いとされる事も、他の人にとっては悪い事だってあります。
※以前の記事「【介護】介護方法って人それぞれなんです。」を読んでね。
今回はデイサービスの管理者として経験してきた、「段階によってこう過ごすのが良いよね」という事を解説してきたいと思います。
①認知症中期ってどんな状態?
中期は介護度だと、「要介護1~3」ぐらいでしょうか。
「要介護1だと初期なんじゃないの?」と仰る方もいるかと思います。
介護度は「本人が身体的なケアを、どれだけ他の人の支援が必要か」という事を重視して決められる傾向が強く見られれていると感じます。
その為、行動心理症状(以下、BPSD)が酷くても介護度自体は低く見積もられる事もあります。
他にも介護度が上がると負担する金額も上がるので、「介護度を上げたくない」というご家族もいらっしゃいます。
ですので介護度はあまり参考にならないです。
さて、中期の人の状態は「分かる事が半分、分からない事が半分」でとても混乱しやすい状況にいる事が多いという事です。
BPSDが頻回に見られるのもこの時期です。
また、尿失禁や便失禁が見られ始めるのもこの時期です。
初めて失禁を目の当たりにした家族はショックを隠せずに、どうすれば良いか狼狽します。
ご家族がケアに対して、最も疲れがピークになるのがこの時期だと思います。
②どうケアをすることが大事なの?
「分かる事が半分、分からない事が半分」なので当事者はとても混乱しやすい状態になっています。
そこで初期の頃のケアでは「本人の能力の維持・向上を目指すケア」を取り入れていました。
中期になると「本人にストレスを与えないケア」も大事になってきます。
その人にとって「悪いストレス」は認知症の症状の進行に悪い影響を与えます。
その為出来ない事を無理やらせるのではなく、サポートする事が時に大事になります。
不安感やストレスはBPSDに繋がる事にもなりますので、出来るだけ安心した環境で過ごしてもらう事が大事です。
また、ストレスを与えない環境でBPSDが発現しなければ良いのですが、時に常時混乱状態でBPSDが発現している方もいらっしゃいます。
そういう場合には薬剤調整を行う事でBPSDの発現を抑えたり、発現の頻度を下げる事が出来る事があります。
環境調整による支援と介護、加えて薬剤調整が中期のケアでは大事になると考えています。
③まとめ
今回は中期の方における認知症ケアについて解説しました。
中期頃になると「分かる事と、分からない事が半分」ぐらいになり、混乱しやすい状態が続きます。
その為BPSDが発現しやすく、家族の介護疲労も増えていきます。
失禁も始まり、ショックを受ける時期もこの中期頃です。
BPSDに関しては環境調整による支援・介護が最も安全ですが、必要であれば薬剤調整も必要だと思います。
BPSDによる介護負担が増えるのも大変ですが、一番辛いのはやはり本人だと思います。
昨日まで出来ていた事が今日は出来なくなっていく感覚。
はっきりとした感覚では無いけれど、自分が自分で無くなっていく感覚を一番感じるのはこの時期ではないでしょうか。
日々不安との闘いの中でBPSDが発現するのも仕方がない事なのかも知れません。
上手く介護保険サービスや人の力を借りて、本人が安心して穏やかに過ごせる環境を作れると良いですね。
コメント頂けると嬉しいです。
ではまた‼
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